NEKO-TECH!!

ねことマッチョと、ときどき私。

やっぱり自重トレーニングのコスパは最強だった

猫がヨガをしている写真です

ほもにむさんによる写真ACからの写真

 

 

“今・ここ”でできる自重トレーニン

僕は筋トレが好きだ。筋トレと一口に言ってもさまざまな種類があるけれど、中でもいわゆる「自重トレーニング」と呼ばれるタイプの筋トレが好きだ。

「筋トレ」と聞くとどうしてもトレーニングジムに通い、プロのトレーナーについてもらってガチガチのマシントレーニングを行う様子を思い浮かべる人が多い。ボディビルダーやフィジーク選手のようなバッチリ仕上がったタイプの筋肉。あれはもう一つの美の形だろう。たゆまぬ努力と血のにじむような忍耐の結晶である。

僕が行う自重トレーニングは1畳あればどこでもできるから、自宅でもまったく問題なくトレーニングを行える。プロテインをはじめとするサプリメントだって必ずしも摂らなければならないわけでもない。わざわざ月会費を支払ってトレーニングジムに通わなくても、取り急ぎ「体を鍛えよう」と思い立ったその瞬間から鍛え始められる。

時間や金銭というコストから解放される。

それが自重トレーニングなのである。

 

大上段に振りかぶってみたけれど、最初からそんな意識の高いことを考えながら筋トレをしていたわけではない。

きっかけは「手っ取り早くカッコよくなれそう」と思ったことだった。

クソ浅はかである

浅いスクワットは、浅はかなスクワット。*1

 

『プリズナートレーニング』が大丘の教科書

鍛える部位や運動の強度(キツさ)によって、自重トレーニングにもさまざまな種目がある。初心者が「筋トレ 自重」なんて検索した日には、直後に「おすすめ」で絞り込みたくなるレベルで細分化されていることがわかるだろう。多すぎるのだ、いかんせん。だからこそ、ある程度数を絞って図版付きで種目を紹介してくれる書籍が売れる。

そんな書籍群の中でも、3年ほど前に話題になったのがポール・ウェイド著 山田雅久訳(2017)『プリズナートレーニング』(CCCメディアハウス)*2だ。プリズナーというタイトルの通り、「独房の中でもできる(=特別な器具もサプリメントも必要ない)トレーニング」を標榜している。

これまでにさまざまな解説書や動画、マンガなどに触れてきたけれど、今は『プリズナートレーニング(囚人トレ)』の実践に集中している。

実際にトレーニングを行う中で「これはいいな」と思ったのは次のようなポイント。

  • 全6部位・各10ステップと系統立てられたプログラム
  • 1ステップをじっくりと時間をかけて進めるスケジュール
  • 辛すぎずモチベーションを保ちやすいトレーニン

『プリズナートレーニング』には、ただ筋トレの種目が並べられたカタログではなく、筋トレのイロハからシステマチックに教えてくれる教科書といった風情がある。*3

プログラム

囚人トレは身体を6部位に分け、それぞれ10ステップの段階を踏んでトレーニングを行うプログラムが組まれている。

6部位とはざっくり分けて大胸筋・下半身・広背筋・脊柱起立筋・腹筋・僧帽筋~上腕で、トレーニング種目でいうとプッシュアップ・スクワット・プルアップ・ブリッジ・レッグレイズ・逆立ちプッシュアップ*4となる。

1部位につき負荷の弱いものから強いものまで10段階の種目が紹介されているから、1冊やり終えるころには60種類もの筋トレ種目が身についているという寸法だ。

スケジュール

レーニングの完成を急かされないのも、僕としては大変居心地がよかった。

囚人トレでは、最後のステップまでやり切るのに数年スパンでのトレーニングが必要になるだろうと教えてくれている。

近年のフィットネスコンテンツは「いかにカンタンに、短期間で、最大の成果を出すか」という方向に舵がきられているように思える。そんな状況にあっても『プリズナートレーニング』は、「成果を出したければ地道にコツコツやること以外にはない」という当たり前のことを説いてくれる。

それ以外に道はない。

レーニン

こういった順を追ってレベルを上げていく方法自体はさほど珍しくもない。でも個人的に最も頼もしかったのは、「筋力を貯金する」という言葉だった。

この言葉は書籍の中で、例えばトレーニング後に指先ひとつ動かせなくなるほどハードに追い込むようなことは必要はない、という意味で使われている。もちろんシビアにトレーニングすることが成長への近道ではあるものの、体を壊すおそれのあるトレーニングをしては本末転倒だろう。この考えは、僕の感覚にもしっくりきた。

追い込みすぎないトレーニングは運動の心地よさをクローズアップしてくれる。歯を食いしばり、痛みに耐えながらなんとかこなせるようなトレーニングだったら、続けられるのはほんの一握りの人だけだろう。 

もう言い古された言説ではあるけれど、やはり筋トレの極意は続けること。何をやるかも大事だれど、続けるためにどう工夫するかということも同じくらい大事だと実感させられる。

 

何でもよいからまずこの瞬間に始めよう

座っていても立っていても、寝ていてさえできる筋トレは世の中にたくさんある。

やらなきゃ、変わらない。変わりたくないなら別に構わないけれど、変わりたいなら、やろう。特に自重トレーニングなら、金銭・場所の制約を受けることがほとんどない。

いつの間にか『プリズナートレーニング』の紹介記事みたいになってしまったけれど、わざわざ本を買わなくても同様の知見はいまどきネットにいくらでも転がっている。

オススメは、動画コンテンツだ。写真では説明しきれない細かい動きや気を付けるべきポイント、正しいフォームなどが分かりやすい。しかし書籍やWeb記事に比べると、1コンテンツ内で紹介できる種目数に限りがあるのがネックだ。

だから、まずは書籍やWebサイトで気になる種目を見つけ、実践する際に動画を見ながらトレーニングするとよい。

筋トレも時代に乗って、オムニチャネル化しているのである。

*1:NHKの大人気フィットネス番組「みんなで筋肉体操」にて谷本先生より飛び出したパワー言霊

*2:格闘マンガ『刃牙』シリーズの著者でもある板垣恵介が、表紙イラストを描いたことでも話題になった。

*3:あえてなのかは不明だが、本文には海外のペーパーバック風の紙が使われている。板垣先生の原稿料だけで予算を使いきったのか?

*4:書籍内では「ザ・ハンドスタンド・プッシュアップ」と呼ばれる